前半では、これから先の自動車の在り方について、ひとつの意見を述べました。
今後、環境問題の観点からガソリン車が規制されていく中で、「規制対象ではない電気自動車→環境に良い車」という考えが根強い日本の現状では、主力的な(個性的な)電気自動車が登場して来ない… というお話しでした。
EV VOLUMES.COMが発表した資料によると、2021年上半期のEV販売は、ヨーロッパで157%、中国で197%、アメリカで166%、他国は95%の成長率がある一方、日本は40%にとどまり盛り上がっていないことがよくわかります[1]。
今回は、日本の電気自動車について、もう少し踏み込みたいと思います。
紹介するのは、テスラ車を専門的に取り上げている『僕テス』チャンネルのトシ氏です。
テスラとは…
テスラは、カルフォルニア州パロアルトに本社を置く電動輸送機およびクリーンエネルギー関連企業です。
主力商品として、乗用車メーカーとして広く知られています。
日本の自動車メーカーとは異なり、取り扱う車種はとても限定的です。(主要車種は『モデルS』『モデル3』『モデルX』『モデルY』)
他の自動車メーカーから一目置かれるのは、自動車業界のビジネス構造を覆した先駆者と言われるためです。
他にも、『テスラ なぜ』でGoogle検索すると、様々な方の見解がありとても興味深いです。
テスラは、前半部分に取り上げた、自動車における『商品力』において優っていると私は考えています。
製品としての自動車『壊れずに安全に目的地まで移動できること』だとしたら、企業同士はその先で違いを出す必要があります。
ほとんどのメーカーは「かっこいい」「乗り心地/乗り味が良い」「”好み”のセッティング」などの違いでユーザを獲得していました。
テスラのビジネス構造はそもそもが異質であるため、優れる理由を一概に断定することは難しいです。
ただ、事実だけを振り返ると、テスラ車は車の販売の効率化を図ることはもちろん、電気自動車であることを最大限に活かしたサービスを提供してきました。
スマートフォンからの遠隔操作(リモートスタート/窓やエアコンの操作など)だけではなく、自動車自体を「エンターテイメント」として提供する姿勢が強く感じられます。(それこそ前半でお伝えした「新しいライフスタイル」と言えると思います)
例えば『モデル3』は先進的なデザインで、車内インテリアはハンドルと1枚のディスプレイで構成されています。
ディスプレイはインターネットに接続されており、ブラウジングはもちろんYouTubeなどのストリーミングサービスを楽しむことや、ゲームをすることができます。(テスラの発表によると、PS5より性能が良いらしい)
トシ氏は、「【日本の自動車メーカーの未来を考える】売れるEVと売れないEVの違い」の中で、
テスラが実施する反面、だからこそ日本メーカーがEVで勝てない理由として、以下を挙げています。
- 未来的なデザイン → 参考画像
- スマホのようなUI → 参考画像 UIはもちろん、反応速度や体験を含めたUXも限りなくスマホ
- 自動運転 → 常に車線や周囲の車/人/障害物を認識し、パターンを学習することによって自動運転技術も日々進化している
- スポーツカーにも優る加速 → 2021年発表「モデルS Plaid」 0-96km/h加速1.99秒
- インターネットによるサービス → マップの提供、ゲーム/映像によるエンタメはもちろん、頻繁なアップデートによりできることが増えていく など
アメリカでは自動運転(FSD)が始まりつつあります。運転手がハンドル操作をしなくても、カメラ認識によって車が自動で運転してくれるものです。
この実現方法も、長年にわたってデータを蓄積してきたテスラでしか出来ないものとなっています。
トシ氏は「いままでの自動車の概念を覆すような要素が、電気自動車であること以上に詰め込まれている。これがテスラの魅力」と述べています。
日本メーカーの日産は2010年に電気自動車「リーフ」を販売し、世界初の量産型電気自動車を飾りました。
2021年現在では、リーフの販売台数は50万台強となっています。
一方、テスラのモデル3は2017年に販売され既に販売台数100万台を達成しています。
トシ氏は、原因として
「エンジンをモーターに変えただけの代物を作ってしまったから[2]」とまとめています。
数値的なデータを出した上で、「パワートレインをモータに変えただけでは車は売れないことを体現している」ことを説明し、日本メーカーのEVが売れないのはここにあるとしています。
トシ氏は、日本メーカーの勝ち筋は次のところにあると考えています。
- ロボタクシー分野ではもう勝てない。一方で、特定の環境下で間違いなく動く自動運転技術の可能性
- 街中でどのようなサービスを提供していくか。これまでの自動車の枠に囚われずにいろんな形態のモビリティを作ってシームレスに繋げるサービス企業
- 特に、スピード感を持って取り組んでいく必要があると指摘しています。
結論は前半の記事に帰結することとなりますが、五味氏とトシ氏が見る将来像は共通したところが多いと考えています。
「エンジンをモーターに変えた。加速がスムーズになって、エコだよ」という日本の売り方で、電気自動車は普及するのでしょうか。
つまり残酷な現実ですが、『環境に良い車』のために、人々が数百万円を簡単に出せるでしょうか。特に電気自動車はデメリットが悪目立ちし、「航続距離が短い。充電時間が長い」などのよくない部分が魅力を濁しているのは間違いありません。
(ちなみにテスラはこのデメリットに対して、専用のスーパーチャージャーを設置することによって解決を図っています)
こちらも、私の下手な説明より、トシ氏のわかりやすい解説を聞いていただくのがとてもわかりやすいと思います。
ここからは、私の見解になります。
iPhoneが登場したことで携帯電話からスマートフォンに一気にシフトした”あの頃”と同じように、「スマートフォンがなくても携帯電話で生活困ってないし」という”空気感”が蔓延る現状があります。
近い状況として、AppleWatchの登場によって注目を集めるウェアラブルデバイスにも「なくても生活困らない」という考えから、発展しにくい現状があります。
話が逸れますが、その逆の話として、東日本大震災によって人々の連絡が困難になった状況があったからこそ『LINE』が普及したと言われています。
つまり、そういうことだな。と。
需要がないから発展しない。自動車メーカーだけの問題でもないかもしれない。だからこそ様々な分野に可能性があるとも言えると思っています。
私が院生として大切にしていることは、技術の進展ばかりに固執せず、”社会全体”を見つめて、求められていることは何かを考えることです。
先日、ガソリン車の規制が決まったばかりで、自動車メーカーの戸惑いの声も聞かれるなか、これから時代は一気に転換すると考えています。
(自動車に限らず、5G… 6Gの登場によって人々のライフスタイルは未知のものへ変化していくと思います)
その流れを冷静に捉え、考えていくことにこそ、価値があると考えています。
参考サイト
[1] 『[Global EV Sales for 2021 H1 -ev-volumes.com-](https://www.ev-volumes.com/country/total-world-plug-in-vehicle-volumes/)』
[2] 『[【日本の自動車メーカーの未来を考える】売れるEVと売れないEVの違い](https://www.youtube.com/watch?v=lomcZqOt4Rk)』 動画内 3:10 テロップ文章引用