お酒は程々に

学部4年の井出佑です.まず、ICMワークショップにおいて酔いつぶれていた私を発見してくださった日本大学の方、その後介抱してくださった千葉工業大学の方、さらに病院まで付き添ってくださったCDSLの北川くんに対し、深くお詫び申し上げますとともに、心より御礼申し上げます。今後このようなことが無いように,しっかり対策等していきますので何卒よろしくお願いします.

今回のブログでは,急性アルコール中毒に関して取り上げ,今後ICMでの様な出来事が発生しないように自分なりに対策を考えたいと思います.

急性アルコール中毒とは

急性アルコール中毒は「アルコール飲料の摂取により生体が精神的・身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生じるものであり、通常は酩酊と称されるものである」と定義されます。また,血中アルコール濃度によって状態が定義されており,主な症状も異なります.血中アルコール濃度ごとの状態と主な症状,酒量の目安について以下の表に記します.

血中アルコール濃度(%)酒量の目安状態主な症状
0.02~0.04ビール中びん(~1本)
日本酒(~1合)
ウイスキー・シングル(~2杯)
爽快期さわやかな気分になる
皮膚が赤くなる
陽気になる
判断力が少しにぶる
0.05~0.10ビール中びん(1~2本)
日本酒(1~2合)
ウイスキー・シングル(3杯)
ほろ酔い期ほろ酔い気分になる
手の動きが活発になる
抑制がとれる(理性が失われる)
体温が上がる
脈が速くなる
0.11~0.15ビール中びん(3本)
日本酒(3合)
ウイスキー・ダブル
(3杯)
酩酊初期気が大きくなる
大声でがなりたてる
怒りっぽくなる
立てばふらつく
0.16~0.30ビール中びん(4~6本)
日本酒(4~6合)
ウイスキー・ダブル
(5杯)
酩酊期千鳥足になる
何度も同じことをしゃべる
呼吸が速くなる
吐き気・おう吐がおこる
0.31~0.40ビール中びん(7~10本)
日本酒(7合~1升)
ウイスキー・ボトル
(1本)
泥酔期まともに立てない
意識がはっきりしない
言語がめちゃめちゃになる
0.41~ビール中びん(10本超)
日本酒(1升超)
ウイスキー・ボトル
(1本超)
昏睡期ゆり動かしても起きない
大小便はたれ流しになる
呼吸はゆっくりと深い
死亡

どの程度からが急性アルコール中毒であるかの明確な定義はありませんが,泥酔期以上では意識レベルが低下し,嘔吐,血圧低下,呼吸数の低下が起こり,生命に危険を及ぼす可能性があります.

急性アルコール中毒になりやすい人の特徴

一般に若年者,女性,高齢者,飲酒後に顔が赤くなるタイプの人(赤型体質)はアルコール分解が遅いため,アルコールの血中濃度が下がりにくく,急性アルコール中毒のリスクが高いと考えられています.中でも若年者は自分の限界がわからないこと、アルコールに対してまだ耐性が低いことなどから、急性アルコール中毒のリスクが高いと考えられます。

アルコール摂取量の基準と酔いがさめるまでの時間

アルコール摂取量の基準となるお酒の1単位は純アルコールに換算して20gです.実際の酒量に換算すると以下の表のようになります.

種類目安の度数酒量(本,合,杯,缶)酒量(ml)
ビール5%中びん1本500ml
日本酒15%1合180ml
焼酎25%0.6合約110ml
ウイスキー43%ダブル1杯60ml
ワイン14%1/4本約180ml
缶チューハイ5%ロング缶1缶500ml

アルコールの量の計算式は以下の通りです.

アルコールの量(g) = 酒量(ml) × { アルコール度数(%) / 100 } × 0.8

上記の1単位のお酒を体重60kgの人が30分以内に飲んだ場合,アルコールは約3~4時間体内にとどまります.2単位の場合,約6~7時間でアルコールが体内から消失します.これには個人差があるため,体質的にお酒に弱い人はアルコールの消失に更に長い時間を要します.深夜に飲んだ後,起床後までに体内にアルコールが残っていると二日酔いになります.

急性アルコール中毒の対処方法

周囲に急性アルコール中毒が疑われる人がいる場合の救護方法を記します.

  1. 絶対に1人にしない。
  2. 衣服をゆるめて楽にする。
  3. 体温低下を防ぐため、毛布などをかけて暖かくする。
  4. 吐物による窒息を防ぐため、横向きに寝かせる。
  5. 吐きそうになったら、抱き起こさずに横向きの状態で吐かせる。

無理に吐かせてしまうと吐物が逆流し,喉に詰まって窒息する可能性があります.意識が低下している場合は無理に吐かせようとせずに上記の5点を守りましょう.また,大いびきをかいて痛覚刺激に反応しない,揺すって呼びかけても反応がない,体が冷たくなっている,倒れて口から泡を吐いている,呼吸状態が不安定などの兆候が現れた場合は,すぐに救急車を呼ぶようにしましょう.

急性アルコール中毒で倒れないための対策

私が急性アルコール中毒で倒れた原因として,飲酒量が多かったことと,飲むペースが早くなってしまったことがあります.このことから,対策として考えられることとして,飲酒量の制限があります.アルコール摂取量の1単位を度数5%のビールとチューハイに換算すると500mlになります.そして,理性が失われる目安の酒量はビールの中びん1~2本(500~1000ml)になります.このことから,飲酒量を度数5%換算で500ml未満に抑えることが有効だと考えます.缶にすると1缶(350~500ml),中ジョッキ(330~500ml)の場合1杯程度に抑えれば飲みすぎることはないと考えます.もしこれ以上飲む場合は飲むペースを遅くすることと,水を一緒に飲むことが有効であると考えます.酔いの進行度合いは血中アルコール濃度によって決まります.このことから,アルコールの吸収速度を緩やかにすることで,血中アルコール濃度が高くなりすぎないようにすることが有効だと考えます.水を一緒に飲むことで消化器官内のお酒が薄められ,実質的にアルコール度数が下がるため,アルコールの吸収速度が低下します.

最後に

今回は急性アルコール中毒について取り上げ,急性アルコール中毒で倒れないための対策について考えました.これらのことを踏まえて,今後は飲酒量を500ml以下に抑え,これを30分以上かけて飲むようにし,これ以上飲む場合は,酒量と同量の水を飲むようにしたいと思います.また,周囲に急性アルコール中毒になっている方がいたら,これらの知識を活かして積極的に救護に参加したいと思います.改めまして,ICMワークショップにて,私を助けてくださった方々に心よりお詫びと感謝を申し上げます.

参考文献

健康日本21アクション支援システム Webサイト 急性アルコール中毒https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-01-001

健康日本21アクション支援システム Webサイト 血中アルコール濃度
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/alcohol/ya-009

飲酒の基礎知識 -公益社団法人アルコール健康医学協会-
https://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html

飲酒時のアルコール代謝における水分補給の重要性 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ – 日本トリム
https://www.nihon-trim.co.jp/media/31813/

アルコールが体から抜けるまでの時間|特定非営利活動法人ASK
https://www.ask.or.jp/article/8502

「アルコールの分解にかかる時間」を医師が解説! 早見表もあります〈お酒と健康の基礎知識⑪〉 | いいちこスタイル
https://style.iichiko.co.jp/howto-drink/20240614/0328/

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