現代社会を創り出した技術と世界大戦

お久しぶりです。4年の方の遠藤です。最近は3年の方の遠藤が研究室に入ったため、呼ばれた時の勘違いが多くなりました。自分がDockerをメインでやってるのは、3年の時にDocker触って滅茶苦茶面白い技術だなと思って研究室でも進めさせてもらっているからです。この1年半でかなり知識はついたのですが、いかんせん知識だけで実戦経験があんまり無いので、開発現場でどこまで活かせるかは微妙な所かなと思っています。

自分は理系の人間ですが正直文系科目の方が得意な人間で、歴史と地政学が好き(知ってる量は雑学程度だけどね)なので、人がCivilizationやEuropa Universalisなどの歴史シミュレーションゲーをやってる所見るの凄い好きです(ゲームは持ってますが、自分でプレイするのは後半疲れるから嫌ですね)。
最近はYoutubeで歴史系の解説動画も見るようになりました。興味本位で色々調べてるとしょうもない雑学ばかり身について滅茶苦茶面白いですね。

自分がこんな書き出し方してるので察しのついている方もいると思いますが、Dockerの話を期待していた人はゴメンナサイ。今回は自分が面白いなと思った技術について取り上げます。Dockerに関してブログで取り上げたい事は前々回の担当の時に全部書いちゃった感じがするんですよね。ゲーム攻略以外の話を取り上げるの珍しいかも

今回のブログでは、個人的にこれが無ければ現代社会が成り立たなかったと考えているハーバー・ボッシュ法とノイマン型コンピュータについて少し調べたので、この2つの技術を現代文明と世界大戦とどういう関係があるのかについて少し書いてみたいと思っています。間違った事書いてたらゴメンナサイ。

ハーバー・ボッシュ法

ハーバー・ボッシュ法とは、空気中の窒素と水素を400~600℃、100~200気圧という高温・高圧の環境下で触媒を用いて反応させてアンモニアを発生させる方法です。空気中の窒素から肥料になる窒素化合物を作ることが可能にしたため、「空気からパンを作る魔法」とも言われています。

自分がこの技術が無ければ現代社会が成り立たなかったと考える理由は次の2つです。
1つ目はハーバー・ボッシュ法によって化学肥料の生産が人口爆発に追いつくようになったためであり、この技術が無ければ地球上に約80億も人類が居なかったから。この技術が無ければ国家がここまでのマンパワーを持つ事は無かったはずです。おそらく1番人類の繁栄に貢献している技術でしょうね。
2つ目はハーバー・ボッシュ法によって戦争に使用する火薬の原料を、埋蔵資源からではなく人工的に作成できるようになったためです。ハーバー・ボッシュ法はWW1始まるかな?くらいの時期にドイツで生まれたのですが、ハーバー・ボッシュ法によってアンモニアの”生産”が行われていなければドイツ中の硝石が枯渇するのは2、3年早く、WW1の終結がかなり早くなっていたと考えられます。また、この技術が世界中に拡散したことでWW2にて空気から大量に火薬を生産し、各列強が総力戦を可能とした1つの要因でもあると思います。

自分がこの技術を面白いと感じた点は、文理両方の視点が無いとこの技術の価値が分からないからです。文系的視点では食糧生産問題の解決と戦争への貢献、理系的視点では不可能だと思われていた人工的な窒素化合物の産業的生産方法の確立といった感じでしょうか?

アンモニアは化学肥料の原料となります。19世紀末には人口爆発が起きており、ヨーロッパで生産されていた農作物の増加量が人口の増加量に対して追いつかない可能性が指摘されていました(アジアほど土地が肥沃ではなく、小麦もコスパが良好では無かったのも影響。そのため南アメリカから持ち込まれたジャガイモがヨーロッパで重宝されていたのですが、それは今回とは別の話ですね)。
当時の時点で既に硝石から化学肥料を作る方法は確立されていました。また、19世紀末は戦争に銃と砲が用いられており、当時の弾薬につかう火薬には硝石が使用されていました。そのため当時のヨーロッパ諸国は農業と戦争のために硝石の確保に必死でした。尿素は分解されるとアンモニアが発生するため、国家が硝石を確保するために国中の尿を集める事態にもなっていました。
特にドイツでは硝石の輸入量が当時世界一であったこと、イギリス・フランスあたりと戦争になったら海上封鎖によって硝石の輸入が出来なくなって国中の硝石が枯渇することが考えられた(当時のイギリス海軍は激強)ことから、人工的にアンモニアを生産する研究が特に進められていました。
そして、ドイツに住んでいたハーバーとボッシュという科学者が安価にアンモニア合成を行う方法を発見し、実用化しました。ハーバーとボッシュ2人の名前が法則名に付けられていますが、2人同時に研究が行われていたと言うよりかは、ハーバーが理論レベルで可能という事を証明し、ボッシュがそれを大量生産可能なレベルまで改良したイメージらしいです。
以前にも空気中のN2からNH3を生成する方法は、マメ科の植物を植えて土壌中の窒素を回復、大量の電力を消費して硝酸カルシウムやカルシウムシアナミドを合成する方法が彼らが発見したハーバー・ボッシュ法以前から発見されていましたが、どれもコストがかかりすぎる(うちの研究室でコスト等のあいまいな言葉を使うとBANされます)ため、農業生産問題を解決できる画期的な手法ではありませんでした。なので、彼らが空気という簡単に用意できるものから窒素を空気中から化合物に固定する方法を発見したのが、当時は相当衝撃だったようです。
ハーバー・ボッシュ法に用いる触媒や、ハーバー・ボッシュ法を産業レベルで大量生産するための工夫については、それだけでまた色々記事が書けるみたいです。興味を持ったら調べてみて下さい。

ハーバー・ボッシュ法を確立した時期にはWW1が勃発し、当時の戦争のためには硝石を大量に必要としました。そのため、ハーバー・ボッシュ法を用いてアンモニアを生成する巨大な工場がドイツ国内に立てられ、WW1とWW2の両方でドイツが火薬を生産する拠点となりました。空気からパンを作り最も人口の増加に貢献した技術は、同時に空気から火薬を作り多くの人間を殺害した技術にもなりました。

ノイマン型コンピュータ

ノイマン型コンピュータとは、皆さんが使ってるコンピュータのことです。むしろNotノイマン型コンピュータであるコンピュータを探す方が難しいです。量子コンピュータとかが該当します。もしかしたらGPUとかも該当するかも?ノイマン型コンピュータが出現してから70年経ってもより高性能なアーキテクチャが実用化されていないってノイマン滅茶苦茶凄いですね。

自分がこの技術が無ければ現代社会が成り立たなかったと考える理由……まぁコンピュータが無ければ現代社会が成り立たないですね。間違い無くこの世で人間がこれだけの情報を高速に手に入れられているのはノイマンのお陰です。

ノイマン型コンピュータという名前からコンピュータを開発したのはジョン・フォン・ノイマン氏であると思っているかもしれません。ですがノイマン氏が考案したのはコンピュータのアーキテクチャである”プログラムを記憶装置から順に読んで実行する”ことです(以前は電子回路にプログラムをハードコーディングしていたので、違う計算を実行するのに色々配線を繋ぎ変える必要がありました)。自分も調べるまで知らなかったのですが、電気を用いて計算を行うマシン(ENIACやEDVAC)を考案したのはノイマン氏ではなく、エッカート氏とモークリー氏のようです。ノイマン氏は空き時間にエッカート氏とモークリー氏と協力してコンピュータの計算速度の上昇に貢献していたようですね。技術的にはエッカート氏とモークリー氏の貢献があり、ノイマン氏は数学的な視点からの協力だったようです。何故コンピュータを開発したのがエッカート氏とモークリー氏ではなくノイマン氏であると勘違いされたかですが、これはゴールドスタイン氏がノイマン氏から送られたメモを元に作られた「EDVACに関する報告書の第一草稿」にプログラム内蔵方式のアーキテクチャがあり、あまりにも重要だったため世界中の科学者がそれをノイマン型と呼んだことと、この第一草稿をゴールドスタイン氏が急いで共有した時にエッカート氏とモークリー氏を入れ忘れてメモ元のノイマン氏の名前しか入って居なかったことが原因だと言われています。(実際にこの件で特許争いが起きています。)

で、コンピュータは現在も航空制御や弾頭計算などなど幅広い分野から戦争の遂行に必要とされています。最初にコンピュータを戦争に使おうとしたのは、核開発だと言われています。水爆を正しく起動できる構成にするためには膨大な計算量が必要であったため、ノイマン氏は自身が改良したコンピュータを提供して核開発に貢献しました。このことも当時の冷戦を加速させる要因の1つでした。他にも、天気予報をコンピュータでより高速で正確に行おうとしたのもノイマン氏です。(当時のマシンスペックですら、どの天気予報士よりも高性能だった)天気予報と聞くとすごく平和な利用法に聞こえますが、実際にはバリバリ戦争に使える情報です。霧や雷雨などの悪天候は、戦闘プランを立案する際に、自軍が有利に立ちながら敵軍を不利に陥れるために重要でした(特に航空機や船舶は劣悪な環境下で運用すると危険)。実際、太平洋戦争中の日本では全ての天気予報データは暗号化され、民間に向けての発信を封じられていました。皆さん、天気予報をテレビで聞きながら平和ボケできる事に全力で感謝しましょう。

感想

ドイツの科学力は世界一ィィィィィィ!!!

このブログ書くために色々調べてて思ったのですが、タービンもエネルギーという面ではこの話題に合ってたかも。人類は未だにお湯を沸かす以上にエネルギー変換効率良い方法を編み出せていませんからね。水蒸気で羽とかクルクル回すよりも優秀なエネルギー変換手法を発見できたら世界の覇権取れますよ!

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