修士2年の高橋風太です.テクニカルレポートや論文のタイトルを考えるのはとても難しいです.自身のやっている研究を分かるように,かつ端的に伝える必要があるからです.前提として,タイトルは「手段+目的」という構成にすると分かりやすいと感じ,全てこの構成で考えています.今回は,自身のテクニカルレポートや論文のタイトルがどのように変わってきたかを,「目的」に焦点を当てて紹介します.
最初のタイトルは,「ファイル受信の検知を用いたバックアップの中断によるファイル送信時間の増加の抑制」です.3年生後期テクレポのタイトルで,「増加の抑制」という部分が分かりづらいと感じます.しかし,「短縮」にすると伝えたいニュアンスが異なり,正確な表現をするためこのタイトルで決定しました.
次のタイトルは,「業務開始時刻に基づくディスク読み書き量の制限によるバックアップとユーザのファイル転送時間の両立」です.4年生前期テクレポのタイトルで,やっていることはファイル転送時間を短くすることだけではないということで,「両立」という表現をしました.
次のタイトルは,「ファイルサーバにおける期限付バックアップ中のユーザの使用帯域幅の動的制御」です.4年生後期に情報処理学会で発表したタイトルで,やはり目的は1つであるということでユーザに焦点を当て,「増加の抑制」でも「短縮」でもない表現を探し,当時の大学院生複数人に相談した結果このようなタイトルになりました.しかし,「制御」という表現だけでは,どのように制御が行われているかが伝わりません.
次のタイトルは,「期限付バックアップ中のディスク読み取り量の再計算によるユーザのファイル転送時間の短縮」です.修士1年前期テクレポのタイトルで,「ユーザのファイル転送時間」ではなく「バックアップ中のユーザのファイル転送時間」という読み取り方ができるタイトルにしたことで,「増加の抑制」ではなく「短縮」という表現に変更しました.
次のタイトルは,「ディスク読み取り制御による期限付バックアップ中のユーザのファイル転送時間の短縮」です.修士1年後期に情報処理学会で発表したタイトルで,前回のタイトルとは提案手法を変更したため,この部分の修正を反映したタイトルとなりました.
次のタイトルは,「業務開始時刻に完了させるバックアップに対する読み取り制御によるユーザファイルの転送時間の最短化」です.現在はこのタイトルで考えています.「制御」という表現のみではどのように制御するか不明ですが,この場合は前半で何を目的として制御しているかを示しています.また,「短縮」を表現するためには「バックアップ中の」という表現を用いる必要がありましたが,「短縮」の代わりに「最短化」を用いることで,タイトルを端的に表しつつ正確な表現にする意図があります.
このように,同じテーマでの研究であれど複数の表現方法が存在するため,分かりやすく端的なタイトルを考えるためには時間と労力を要することが分かります.